5分で理解するVMware Cloud on AWS ことはじめ
こんにちは、AWS事業本部の荒平(@0Air)です。
新年度が始まり、VMware Cloud on AWS に触りたい方も増えてきた頃かと思います。
今回は VMware Cloud on AWS を触ったことのない方向けに、ざっくりと概要を説明するエントリです。
細かいアーキテクチャや関連サービスは除き、5分程度で読めるように仕立てています。
VMware Cloud on AWS とは?
一言で表すと、「VMware社のSDDC製品をAWSで利用できるようにしたもの」です。
AWS上のベアメタルインスタンスで稼働し、VMware vCenterを通じて仮想マシンを管理することができます。
AWSの各種サービスとも相性がよく、S3やRDS、ELBなどと容易に接続することができます。
何が嬉しいサービスなの?
オンプレミスで稼働するvSphereなどを、素早く強固で伸縮性のあるクラウドに移行することができます。
ハードウェアの交換や故障対応、予防措置を意識することなくビジネスに集中できるため、生産性の向上に寄与できることが嬉しいサービスです。
伸縮性があるというのも非常に大きなメリットで、すぐにインフラリソースを調達することができます。
昨今に多い「新しいシステムを構築したい!でもサーバが半導体不足で当分入ってこない・・・」といった悩みを解消してくれます。
特にデータセンターのハウジング費用などの固定費が多く掛かっているケースでは、かなりのコスト圧縮が期待できると思います。
なお、VMware Cloud on AWSでは、以下の独自の責任共有モデルが採用されています。
(引用元: VMware Cloud on AWS の責任共有モデル )
つまり、物理インフラストラクチャおよびハードウェア、ハイパーバイザ(SDDC)については責任を持って管理されているので、ユーザー目線では仮想マシンのレイヤ以上を考えるだけでよいということです。
これはかなりの負担軽減になると思います。
料金形態
以下のページから最新の価格情報をご覧ください!
VMware Cloud on AWSは時間による従量課金制ですが、必要なCPU/メモリ/ストレージはプロビジョニングされており、いずれかのリソース追加が必要な際は、ホスト数を増加させるイメージです。
価格は以下の要素によって変わります。
- Production(本番利用)または、Single host(一時利用・検証利用)
- ホストのインスタンスタイプ
- ホストのインスタンス数
- 支払い方法(オンデマンド・前払い)
また、上記に追加してデータ転送料金、IPアドレス料金、VMware Transit Connectの料金が発生する場合があります。
VMware Cloud Flex StorageやFSx for NetApp ONTAPをストレージとして使用する際も、その分の料金がそれぞれ発生します。
インスタンスタイプ
VMware Cloud on AWSは、ベアメタルインスタンスにて提供しており、執筆時点ではi3.metal, i3en.metal, i4i.metal(大阪は未リリース)の3種類が利用できます。
主なインスタンスの違いについて以下の表に纏めました。
(参考: VMware Cloud on AWS における Amazon EC2 i4i.metal インスタンスの技術仕様 )
インスタンス | i3.metal *1 | i3en.metal | i4i.metal |
---|---|---|---|
CPU タイプ | Intel Xeon E5-2686 (Broadwell) | Intel Xeon Cascade Lake | Intel Xeon Ice Lake |
CPU コア数 *2 | 36 Cores @ 2.3 GHz | 48 Cores @ 2.5GHz (96 HT Core) | 64 cores @ 3.5 Ghz (128 HT Core) |
メモリ | 512 GiB | 768 GiB | 1024 GiB |
ストレージ種類 | NVMe All Flash | NVMe All Flash | AWS Nitro SSD |
ストレージ容量上限 | 10.7 TiB | 45.8 TiB | 20.5 TiB |
ネットワーク速度 | 25 Gbps | 100 Gbps *2 | 75 Gbps *3 |
*1 i3.metalは、比較のため掲載していますが、現時点で新規購入不可となっています
*2 アプリケーションのパフォーマンス最適化のため、CPU物理コア数を8~64でカスタムするオプションもあります
*3 ネットワーク速度は、現在のところ50 Gbpsまでサポートされています
ストレージ容量やCPUの要件に合わせて i3en.metal
か、 i4i.metal
を選択してください。
日本でも利用可能
2023年4月現在、日本では既に東京・大阪で利用可能となっています。
また、それぞれのデータセンターでは、ISO 27001などの主要なコンプライアンス認証を取得しています。
コンプライアンス対応については以下のページもご参照ください。
VMware Cloud on AWS のここがイイ
私なりにイイなと思っているポイントを3つ挙げます。
- 操作感が変わらないから、オペレーションの学習コストが低い
- 完全にオンプレミスと同じという訳ではありませんが、仮想マシンの停止や移動、作成などの日常オペレーションに掛かる学習コストは非常に低く、取り組みやすいのがイイところ
- 今お使いのvSphereからライブマイグレーションが可能
- お馴染みのvMotionや、HCXといった製品を利用することで仮想マシンを無停止で移行することができます
- 参考: 無停止クラウド移行のシンプルなオペレーション(VMware HCX のライブマイグレーション)
- チャットサポートで何でも聞ける
これ、本当にありがたいので触ってみてほしいです。VMwareサポートのエンジニアが、VMware Cloud on AWSで困っていることにすぐ回答してくれます。チャットで解決しきらない場合も、Support Request(SR)として調査を引き継いでもらえます。- (追記) チャットサポート終了により、技術的な質問にこの機能は使えなくなりました(非技術は利用可能)。引き続き、Support Request(SR)には何でも聞けます!
もっともっと良さをお伝えするために、デザインパターンや関連サービスについても今後まとめてまいります。
さいごに
本エントリでは、VMware Cloud on AWS について概要をまとめてみました。
「機器更新の度にハードウェアの予算取りが大変」「クラウド化したいけどいきなりAWSネイティブサービスはハードルが高い」といった要望に大きなメリットがあるサービスだと思います。
このエントリが誰かの助けになれば幸いです。
それでは、AWS事業本部 コンサルティング部の荒平(@0Air)がお送りしました!