[アップデート] Amazon SES の Virtual Deliverability Manager ダッシュボードにメトリクスペインが追加され、開封率やバウンス数など各種メトリクスを時系列で把握しやすくなりました

[アップデート] Amazon SES の Virtual Deliverability Manager ダッシュボードにメトリクスペインが追加され、開封率やバウンス数など各種メトリクスを時系列で把握しやすくなりました

Clock Icon2023.04.01

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いわさです。

Amazon SES には Virtual Deliverability Manager という機能があります。
こちら有料の追加オプションにはなるのですが、SES 構成の推奨事項を提示してくれたり、ISP 別に配信状況の分析を行うことが出来たり、Amazon SES の運用に必要な配信性能の改善業務を手助けしてくれる便利な機能です。

Virtual Deliverability Manager はアドバイザーとダッシュボードの機能があって、基本的にはダッシュボードを使って配信性能の分析を行います。
これまでも便利な機能が備わっていましたが、今回のアップデートで時系列に各メトリクスを表示するグラフペインが追加されました。

メトリクスの時系列グラフ

Amazon SES で Virtual Deliverability Manager を有効化すると、アドバイザーとダッシュボード機能を利用することが出来ます。
ダッシュボードの次のエリアが今回新しく追加されたエリアです。それ以外は以前から存在していました。

これまでは上部の対象期間の合計や、キャプチャに含まれていませんが下の方にカテゴリー別に詳細な配信状況を分析するエリアがあるのですが、時系列でのグラフ表示は今回が初めてです。
対象期間にアカウント全体で送信したメールに関する各メトリクスが時系列で表示されています。

グラフの表示期間は Virtual Deliverability Manager の上部の日付範囲コントロールから、他のパネルと同じ仕組みで指定が可能です。

また、メトリクスは以下から必要なもののみを指定して表示することが出来ます。

  • 送信済み
  • 配信済み
  • 苦情数
  • 一時的な(エラーによる)返信
  • 永続的な(エラーによる)返信
  • 開封数
  • クリック数

左側が「数」で、右側が「レート」です。
バウンスや苦情、開封率のようにレートを重視したいものもあれば、配信数のように数を重視したいものもあるのでどちらも確認出来るのは良いですね。
欲を言えば色やグラフの形状をカスタマイズ出来るとさらに使いやすくなるかもしれない。あとタイムゾーンも変更出来ると嬉しいかもしれない。

注意点としては、ここで表示される時系列データは粒度が日次です。
時間単位で把握したい場合は従来のように CloudWatch メトリクスなどで詳細な分析を行う必要があります。

CloudWatch メトリクスと比較

参考までに他の確認方法と比較してみます。
CloudWatch メトリクスだと以下です。

CloudWatch ダッシュボードを既に作り込んでいるのであればデータの粒度や通知など、様々な機能を考えて CloudWatch メトリクスで管理して良いと思います。
ダッシュボードを用意せずに簡単に可視化して確認したい場合は Virtual Deliverability Manager ダッシュボードが便利です。

ただし、CloudWatch メトリクスと数値が一致しないものもありました。後述します。

SES アカウントダッシュボードと比較

Amazon SES のアカウントダッシュボードでは標準かつ無償で時系列のメトリクスグラフが用意されています。
CloudWatch ダッシュボードを用意していない場合はこちらを使うことが多かったと思いますが、日次で長期間の分析を行う際には粒度が細かすぎるのと、過去 14 日間までしか表示出来ないので、Virtual Deliverability Manager ダッシュボードのほうが使いやすい場面もありそうです。

こちらは CloudWatch メトリクスと同じものを表示しているので、同様に Virtual Deliverability Manager と差分があるものがありました。

バウンスレートなどの把握には従来どおりレピュテーションメトリクスを確認したほうが良い

以下はバウンスでフィルタリングしたものですが、対象がない場合は次のように表示されました。

ただし、アカウントダッシュボードで確認すると次のように若干のハードバウンスが発生している様子でした。

また、CloudWatch メトリクスを見ると以下のようになっていました。

ドキュメントを確認したのですが、Virtual Deliverability Manager で除外される条件があるのか確認出来ませんでした。
以上からバウンスレートや苦情レートの管理と検知には従来どおりレピュテーション用のものを使ったほうが良さそうです。

さいごに

本日は Amazon SES の Virtual Deliverability Manager ダッシュボードにメトリクスペインが追加されたので確認してみました。

開封率やバウンス数など各種メトリクスを時系列で把握しやすくなりました。
例えば、キャンペーンメールの配信後しばらくは送信出来ていたが数日経ってからバウンスレートが突然上昇してしまったとか、時系列の観測と分析がしやすくなったと思います。

注意点としては分析や概要レベルの把握には利用出来ますが、CloudWatch メトリクスやバウンス時の SNS トピック設定などの代替となるものではないので併用して使う感じになると思います。

Virtual Deliverability Manager が有料オプションなのでまだ利用していない方もいると思いますが、Amazon SES 運用する上で便利な機能がいくつもあるので是非使ってみてください。
配信性能ダッシュボードのようにイニシャルで高額コミットはしなくても良いのでお試しで利用してその後無効化もすぐに出来ますよ。

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