自分で学習を調整する

自分で学習を調整する

この記事では、自分で学習を調整する概念である「自己調整学習」について整理します。
Clock Icon2024.07.22

こんにちわ。組織開発 がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。

仕事には学習がつきものです。世の中の変化がはやくなるに連れ、学習する対象は増え、キャッチアップに必要な時間は短くなる傾向にあります。最低限仕事ができるようになったとしても、それまでの知識・スキルの資産でずっと食いつなげるわけではなく、必要な知識・スキルは変化していきます。このような背景の中では、自ら継続的に学習する能力が重要になります。

この記事では、自分で学習を調整する概念である「自己調整学習」について整理します。

自己調整学習とは?

自己調整学習 (Self-Regulated Learning) は、学習者が自らの学習過程を計画・管理し、学習の目標達成に向けて積極的に関与することを指す概念です。

自己調整学習の質を高めることで、自分自身で成長できる範囲の拡大や、成長する速度の向上につながります。

自己調整学習のプロセス

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自己調整学習は以下のプロセスで進行します。

  1. 準備段階
  2. 実行段階
  3. 内省段階

1. 準備段階

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準備段階 (Forethought phase)では、学習する動機を整理し、学習の目的を定め、ゴールを設定します

質の高い学習を継続するには、内発的な動機が必要です。そのうえで、学習に向けた内発的な動機を得るためには、「自己効力感」「成果への期待」「取り組みへの興味・関心」「業務上の必要性と自分自身のキャリア上の目的の重ね合わせ」などが必要になります。学習のサイクルを通じて、小さな成功を積み重ねることで、自己効力感を高めたり、学習に対する期待高めていきましょう。

2. 実行段階

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実行段階 (Performance phase)では、自分にあった効果的な学習方法を選択し、学習のために手を動かし、学習の進展状況を自分自身で監視します

人には認知特性というものがあり、どのような学習方法が向いているか個人ごとに異なります。例えば言語優位・視覚優位・聴覚優位などです。自分にあった学習方法を選択し、効率のよい学習をしましょう。

ちなみに私はアファンタジアという特性を持っていて目をつぶって心のなかで映像をイメージすることができません。完全に暗闇です。そのため、私は映像の記憶や想起が苦手です。通常よくある記憶法は映像を一緒に記憶することがすすめられがちですが、きっと私には適さない記憶方法です。逆に、私は映像の扱いが苦手な分、ずっと言語を用いて物事を考えてきているため、学習しながら文書にまとめるような言語優位の学習方法が適しているでしょう。

3. 内省段階

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内省段階 (Self-reflection phase)では、学習の過程や結果を振り返り、習得の確認をしたり、改善点を見つけます

まず、実行段階を終えて学習対象が本当に身についたかどうか把握する必要があります。1回学習したからといって、実際に理解し、実行し、成果につなげることができるとは限りません。例えば、仮に1つの大きい学習テーマに10個の要素があり、すべてを学んだとしても1つしか身についていないとしたら、2個だけでもしっかりと時間をかけて身につけたほうが成果につながる学習になります。

次に、学習している対象そのものだけではなく、学習のプロセス自体も改善の余地がないかふりかえりましょう。

自己調整学習の例

私が前職で急に人事評価制度の責任者を担当することになったときのことを思い出し、自己調整学習のプロセスに当てはめてみます。

1. 準備段階

  • 動機 - 人事評価制度およびその改定を引き継ぐことになり、主担当として自分がやりきる立場になった。元々、「人が充実し、成長して働ける環境づくり」に貢献したくてエンジニアから人事になったため、取り組みへの動機は十分にあった
  • ゴール - 人事評価制度について理解し、社内向けに制度改定の周知・リファレンス作成・運用に必要となるツールの整備に必要な知識を身につけ、成果物を作成可能になること
  • 期日 - 制度改定の着手までに基本的な内容を事前に理解し、制度改定の適用までに走りながら応用的な内容を理解すること

2. 実行段階

  • 制度に関する基礎的な知識の習得 - 着手前に人事評価制度関連の書籍を2冊学習した。また、不明点は都度Webで情報収集した
  • ツール開発に必要な知識の習得 - 当時 kintone を用いてツール作成をする必要があったため kintone についてツールの実現を検証しながら仕様を把握した
  • 実践学習 - 既存の人事評価制度の理解および制度改定の実施を通しつつ、不明点を都度調べながら実践を通して学習した

3. 内省段階

  • 他者からのフィードバック - 制度改定の終了後にマネージャー、メンバーそれぞれからのフィードバックを取得し、次のサイクルの改善につなげた

学習のボトルネックを把握する

自身やメンバーの学習が滞っているとき、どの部分で煮詰まっているのかを把握する必要があります。

例えば

  • 学習の意欲が不足しているなら準備段階の動機に関する部分
  • 身につける対象を適切に選べていなかったとしたら準備段階の学習対象の選定に関する部分
  • 学習対象は適切だけど、なかなか身についていないとしたら実行段階における自分にあった学習方法の選定に関する部分
  • 学習対象は適切で、見についてはいるけど、習得速度が遅いなら、習得に最低限必要な学習の進め方に関する部分
  • 学習はしたけど身についているのかいないのか分からないなら内省段階における習得確認に関する部分

のようなものです。

まとめ

自分で学習を調整する概念である「自己調整学習」について整理しました。

自己調整学習がどのくらいうまくいっているかによって、同じ時間を学習にあてたとしても習得できる量や質は大きくことなります。学習力そのものをふりかえり、高めつつ学習していきましょう。

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