[レポート] ソフトウェア開発方法論にとどまらなくなったアジャイルの潮流 #RSGT2022

[レポート] ソフトウェア開発方法論にとどまらなくなったアジャイルの潮流 #RSGT2022

Clock Icon2022.01.07

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内製化支援コーチ 杉井です。

2022年01月05日(水)〜2022年01月07日(金)に開催されたスクラムイベント『Regional Scrum Gathering℠ Tokyo 2022』(RSGT2022)のレポートです。

本年は現地とオンラインのハイブリッド開催となっており私は現地参加してきました。 登壇者の緊張が伝わる感じ、セッション後の質問の盛り上がり、通路やブースでの雑談・・・。久しぶりのリアルカンファレンスを楽しみました。

本レポートではいくつかのセッションから感じたアジャイルの現在地・潮流を記したいと思います。

RSGT2022で紹介されたフレームワーク・手法

様々なセッションで「ソフトウェア開発方法論」にとどまらない手法や考え方の紹介がありました。

Keynote : Agile Program Management: Scaling Collaboration Across the Organization

Johanna Rothman氏によるプログラムマネジメントをするためのノウハウ、実例(リスクの考え方・チーム構成・コミュニケーション・ロードマップ/計画)を紹介した素晴らしいKeynoteでした。

この中で 「コアプログラムチーム」 というチーム構成の考え方の紹介がありました。 このチームは市場価値・戦略にフォーカスしたチームとのことでソフトウェアプログラムチーム(技術・開発、デリバリーに責任を持つチーム)とは別チームの構成としているとのことです。意思決定が素早く・適切にするためプロダクトの市場価値を高めるため専門家・責任者によるチームです。

プログラムマネジメントをうまくやるためにはビジネス領域の知識をもったチームが必要であることを述べていました。

Scrum@Scaleの理論と実装 - 組織をリファクタリングしながらスケールする

Chatwork株式会社 粕谷大輔(daiksy)氏のセッションです

大規模アジャイルの手法の1つである『Scrum@Scale』の紹介とChatwork社で実践している事例の紹介でした。

Scrum@Scaleフレームワーク

参照: https://scruminc.jp/scrum-at-scale/guide/

『Scrum@Scale』には プロダクトオーナーサイクル としてプロダクトオーナー(PO)のアクティビティが定義されています。注目すべきはこのサイクルの中心に エグゼクティブメタスクラム(EMS) という意思決定機関(官僚機構)が用意されていることす。同じく スクラムマスターサイクル にも エグゼクティブアクションチーム(EAT) という官僚機構があります。

大規模な開発につきものの課題解決や調整をこの両チームが担います。フレームワークの中に官僚機構が必要であることをScrum@Scaleでは定義しています。

セッションのスライドはこちら

プロダクトゴールとは?あるいはプロダクトのゴールを設定するには何が必要か?

サーバントワークス株式会社 長沢智治氏のセッションです。(詳しいセッションレポートはこちら

このセッションではスクラムの プロダクトゴール を中心にエビデンスベースドマネジメント(EBM)などの手法・考え方の紹介がありました。

プロダクトゴールは スクラムガイドに2020年から追加された成果物の1つです。プロダクトが市場でどのようなポジションを目指すのか、どのような価値を提供するのかを示すものです。

浮かび上がるアジャイルの潮流

元々はソフトウェア開発の手法として生まれたアジャイルですが、DXやSociety5.0時代においてはITとビジネスは融合したもの(参考)でありアジャイルも単なる開発手法ではなくビジネスとの融合を前提とした手法に変化してきていることが潮流と言えるでしょう。

アジャイルだけではなくPMBOKやITILといった知識体系・プロセス規定集も最新の版では原理原則を中心としマインドセットも含めたものに変化しています。

これからは、開発方法論(How)、抽象度の高い原理原則やプロダクトゴールのWhy、官僚機構・意思決定機関によるWhatの推進を含めたフレームワークや知識体系へとアジャイルは進化していくのではないでしょうか。

今後の流れを注視しつつアジャイルの未来を楽しみたいと思います。

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