[レポート] 組織的なデータ民主化〜リクルートライフスタイルの事例〜 – Join:the Tour Tokyo 2019 #looker

[レポート] 組織的なデータ民主化〜リクルートライフスタイルの事例〜 – Join:the Tour Tokyo 2019 #looker

Clock Icon2019.07.10

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世界各国の会場で開催されてきたワールド・ツアーイベント「JOIN:The Tour 2019」。日本国内では「Join:the Tour Tokyo 2019」という形で2019年07月09日(火) ホテルニューオータニ 麗の間にて開催されました。

当エントリでは、その中から「組織的なデータ民主化〜リクルートライフスタイルの事例〜」というセッションについてレポートしたいと思います。

目次

 

イベントレポート

セッションの登壇者情報は以下の通りです。

  • 近藤 慧 氏(株式会社リクルートライフスタイル データエンジニアリングユニットデータソリューショングループ data planner)

 

Looker導入における前提の共有

「Air事業」と呼ばれるSaas型業務支援サービスの事業が今回のお話の対象。ここの事業でユーザー支援に使用しているデータは非常に多岐に渡っている。難易度は高いが、ここで扱うデータを組み合わせていくことで日々新たな施策を検討している。

リクルートライフスタイルで使っている『BLT』と呼ばれるデータ活用基盤で物理的な部分をカバー。(※基盤の詳細に関しては下記スライド資料を合わせてご参照下さい。)

この基盤を合わせて活用することでデータの民主化を促進し、事業全体でデータを用いた意思決定を強化する取り組みを継続。

  • DWHとセルフBI
  • Not Only Data Scientist
  • より早く、より良い意思決定の積み上げ=競争で優位に

しかし、運用を進めていくうちに問題が発生。分析基盤環境の利用者が増えるに従い、ロジック不明のアウトプットが増加。『定義』1つを取ってみても状況やユーザーによって意味合いが異なってしまい、キャッチアップや会話が噛み合わなくなる事態に。信頼性を得るためのコミュニケーションコストも増えてしまう形となった。

「民主化の初期は『良いツール』x『ツールが使える人』を中心にデータ活用は進んだが、次第にチーム間やメンバー、経歴でものごとの認識・スキル・スタンスのばらつきが大きくなり、『組織的な民主化』にブレーキが掛かり始めてしまった」と近藤氏はコメント。

 

Looker導入の切っ掛けとなった具体的な課題

具体的な解決策として、近藤氏は『抽象的なハブレイヤーを構築した』と解説。ブラックボックス化しつつあった指標群を中央管理可能にしたいという思いがあり、事業の中心に活用と運用のハブ設置を検討。下記要件を満たすものとしてLookerを設置。

  • 利用者の視点:データセットのモデリング/集計/可視化/行動を促す
  • 自社の視点:既存DWHとのfit/スキルや分化とのfit/既存ツールとのfit
  • 管理の視点:横断ルールの管理/利用の標準化/運用の手間が最小限で済むこと
  • モデリング:ルールによる管理には限界があるので、可能な限りツールに任せたい

 

総括

上記を踏まえ、施策まで落とし込む事が出来るユースケースのイメージ。所謂『データチーム』の居ない構成となっており、これを実現出来れば諸々の速度は飛躍的に向上すると近藤氏は解説。

近藤氏はまとめに入る前に『ツールだけでは銀の弾丸にはならない』と述べました(...名言!)。現在は事業部直下で統括/ビジネス/プロダクト開発からメンバーを選出してもらい、『タスクフォース』を結成して"どうしたら良くなるか"を議論しながら環境改善に取り組んでいるそうです。

  • まとめ
    • データの民主化を目指す中で、悩みは移り変わっていく
    • 多彩なデータと利用者がボトルネックになる
    • 物理上のレイヤーで支えるプラットフォームや文化が必要

 

BIからデータ・プラットフォームへの転換

  • 登壇者: 河上 伸一氏 (Looker Japan プロフェッショナルサービス担当シニアコンサルタント)

近藤氏発表に続き、Looker Japan プロフェッショナルサービス担当シニアコンサルタントの河上 伸一氏から『BIからデータ・プラットフォームへの転換』というテーマでの発表がありました。


(※Looker Japan プロフェッショナルサービス担当シニアコンサルタント 河上 伸一氏)

転換に際して河上氏は「エンドユーザーを理解し、強固な土台を築くこと。これが出来ると、BIのその先へ進むことが出来ます」と説明。

  • データプロダクトを構築するにあたってはまず「尋ね」、そして「傾聴し」、「優先順位付けとコミュニケーション」でユーザーを知っていくことで優れたプロダクトが生まれやすくなる
  • データガバナンスはチーム1人1人の責任。軋轢を恐れず、データの明確化とメンテナンスに努め、キュレーションを適宜行っていくことが重要。
  • 複雑さは混乱を招く。可能な限りシンプルにしていくことも大事。

Lookerでガバナンスを効かせていく上で有用となる機能として、河上氏はLooker上で閲覧可能なダッシュボードについて紹介を合わせて行いました。

 

まとめ

という訳で、「Join:the Tour Tokyo 2019」、株式会社リクルートライフスタイルの事例セッションのレポートでした。

近藤氏の「組織的な民主化にブレーキが掛かりはじめてしまった」というコメントとその背景については「確かに...」と頷かされるところがありました。可視化のその先へ、BIのその先へ...というところを見据えていくとなると突き当たる壁であり、乗り越えなければいけない課題となるのでしょう。Lookerはその辺りも踏まえて活用出来る仕組みや機能を備えているのだなぁと気付きを得るセッションでもありました。

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