RDS Performance Insights の保持期間料金計算方法と料金の見方
コーヒーが好きな emi です。
Performance Insights は RDS の性能が出ない場合やエラーの原因を調査する際に大活躍するイチオシのサービスです。Performance Insights はログ保持期間 7 日間まで無料という太っ腹なサービスですが、無料利用枠で 7 日以上経つとログが無くなってしまうため、エラーの原因調査やパフォーマンス改善中は心もとなく感じます。
Performance Insights のログ保持期間に関する料金は以下の料金ページに「プロビジョニングインスタンスの柔軟な保存」という項目に記載されています。
本記事では Performance Insights のログ保持期間を伸ばした場合にかかる料金の計算方法を記載します。また、実際の請求金額も見てみました。
Performance Insights の保持期間ごとの料金
東京リージョンで db.m6i.xlarge(4 vCPU)のインスタンスを Multi-AZ で起動している場合の計算例を示します。vCPU 数は 4 vCPU × 2 AZ = 8 vCPU です。
小数点第3位以下切り捨てて計算しています。
Performance Insights の保持期間を 1 ヶ月にした場合の月額料金
$1.7561 per vCPU-month × 8 ≒ $14.04
Performance Insights の保持期間を 2 ヶ月にした場合の月額料金
$1.7561 per vCPU-month × 8 ≒ $14.04
$0.0739 per vCPU-month × 8 ≒ $0.59
合計 $14.04 + $0.59 ≒ $14.63
※ Performance Insights を有効化したその月から上記料金がかかります。
Performance Insights の保持期間を 3 ヶ月にした場合の月額料金
$1.7561 per vCPU-month × 8 ≒ $14.04
($0.0739 per vCPU-month × 2) × 8 ≒ $1.18
合計 $14.04 + $1.18 ≒ $15.22
※ Performance Insights を有効化したその月から上記料金がかかります。
Performance Insights の保持期間を 12 ヶ月(1 年)にした場合の月額料金
$1.7561 per vCPU-month × 8 ≒ $14.04
($0.0739 per vCPU-month × 11) × 8 ≒ $6.50
合計 $14.04 + $6.50 ≒ $20.54
※ Performance Insights を有効化したその月から上記料金がかかります。
請求書に記載される料金
AWS マネジメントコンソールで確認
AWS マネジメントコンソールで確認する場合、「請求とコスト管理(Billing and Cost Management)」から確認できます。
[請求書] - [サービス別料金]タブ - [Amazon Relational Database Service] で「+」をクリックして展開します。
以下は東京リージョンの例です。
- 説明(Description)
- $1.7561 per vCPU-month for one month retention
- Performance Insights の保持期間 1 ヶ月目の 1vCPU あたりの月額料金
- $0.0739 per vCPU-month for each additional month of retention
- Performance Insights の保持期間 2 ヶ月目以降の 1vCPU あたりの月額料金
- $1.7561 per vCPU-month for one month retention
- 使用量(Quantity)
- 「説明」に記載の単位の使用量
- Performance Insights の場合「per vCPU-month」とあるので、1 か月に使用した vCPU 数を表す
- 「説明」に記載の単位の使用量
上記画像の例では
- $1.7561 per vCPU-month × 25.871 vCPU-Months ≒ USD 45.43
- $0.0739 per vCPU-month × 51.742 vCPU-Months ≒ USD 3.82
となっています。
クラスメソッドメンバーズポータル(CMP)で確認
クラスメソッドメンバーズポータル(CMP)で確認する場合、
[AWS アカウント] - [該当の AWS アカウント ID] - [ご利用料金詳細] - [詳細タブ]
の順番で選択いただき、「Product Name」で「Amazon Relational Database Service」にチェックを入れると詳細が表示されます。
上記画像の例では
- $1.7561 per vCPU-month × 8 vCPU-Months ≒ USD 14.04
- $0.0739 per vCPU-month × 88 vCPU-Months ≒ USD 6.50
となっています。
表示の説明
クラスメソッドメンバーズポータル(CMP)でご利用料金の詳細を確認いただくと以下の項目が確認できます。
項目 | 説明 |
---|---|
Type | 過去「UsageType」で表示されていた項目です。 レガシーになってしまったようで、現在は AWS マネジメントコンソールから直接確認できません。CSV をダウンロードすると確認できる可能性がありますが、CSV をダウンロードするには [請求設定] - [請求明細レポート] より「S3 へのレガシーレポートの配信」設定を行う必要があり、設定を行った翌月にならないとダウンロードできません。 |
Description(説明) | 単位量当たりの料金が記載されています。サービスによって単位が異なります。 |
Quantity(使用量) | サービスの使用量です。Description(説明)に記載されている単位量で表されます。 |
Cost(金額 USD) | 実際に請求される料金です。 |
以下、東京リージョンで db.m6i.xlarge(4 vCPU)のインスタンスを Multi-AZ で起動し、保持期間を 12 ヶ月(1 年間)にしている場合の表示例です。
項目 | 表記 | 説明 |
---|---|---|
Type | APN1:PI_LTR_FMR:Provisioned | FMR (First Month Retention) 最初の 1 ヶ月間のデータ保持に対する料金であることを表す。 |
Description(説明) | $1.7561 per vCPU-month for one month retention | Performance Insights の保持期間 1 ヶ月目の 1vCPU あたりの月額料金。 |
Quantity(使用量) | 8.00 | Description(説明)に「per vCPU-month」とあるので、1 か月に使用した vCPU 数を表す。1 台 4 vCPU × 2 AZ = 8 vCPU 使用したという意味。 |
Cost(金額 USD | $14.04 | $1.7561 per vCPU-month × 8 ≒ $14.04 |
項目 | 表記 | 説明 |
---|---|---|
Type | APN1:PI_LTR_AMR:Provisioned | AMR (Additional Month Retention) 2ヶ月目以降の月に対するデータ保持の料金であることを表す。 |
Description(説明) | $0.0739 per vCPU-month for each additional month of retention | Performance Insights の保持期間 2 ヶ月目以降の 1vCPU あたりの月額料金。 |
Quantity(使用量) | 88.00 | Description(説明)に「per vCPU-month」とあるので、1 か月に使用した vCPU 数を表す。ここだけ見ると 88 vCPU 使用したという意味だが、2ヶ月目以降の月に対する追加の料金が vCPU に「× 11」で表れていると考えられる。 |
Cost(金額 USD | $6.50 | $0.0739 per vCPU-month × 11 × 8 ≒ $6.50 |
注意点として、保持期間 12 ヶ月(1 年間)など有料の保持期間設定をした場合、設定したその月から AMR(Additional Month of Retention)の追加料金が加算されます。
月ごとに徐々に追加料金が増えていくのではなく、設定した保持期間に応じて月々の料金が固定で決まるイメージです。
終わりに
Performance Insights の料金について整理しました。2 ヶ月目以降の料金があやふやだったので整理できて良かったです。
繰り返しますが Performance Insights は RDS の性能が出ない場合やエラーの原因を調査する際に大活躍するイチオシのサービスです。
- Amazon RDS におけるパフォーマンス最適化とパフォーマンス管理 | AWS Summit Tokyo 2019 - YouTube
- Amazon RDSにおけるパフォーマンス最適化とパフォーマンス管理(資料)
運用開始後は 7 日間の無料枠で有効化しておき、たまに確認して、性能に余裕があるようだったらインスタンスのスペックを下げてコスト削減に役立てるのがおすすめです。
運用開始後性能問題が頻発するようであれば、保持期間を伸ばし、原因調査やパフォーマンス改善に役立てると良いでしょう。
参考
Amazon RDS におけるパフォーマンス最適化とパフォーマンス管理 | AWS Summit Tokyo 2019 - YouTube