[登壇資料] 「コールセンターだけじゃない!Amazon Connectを使ってできる課題解決いろいろ」というタイトルでDevelopersIO 2023 Fukuokaに登壇しました #devio2023

[登壇資料] 「コールセンターだけじゃない!Amazon Connectを使ってできる課題解決いろいろ」というタイトルでDevelopersIO 2023 Fukuokaに登壇しました #devio2023

電話を受けたり掛けたり大変な業務は自動化してウルトラソウルになりましょう、ヘイ!
Clock Icon2023.07.28

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

みなさん、こんにちは!
福岡オフィスの青柳です。

弊社クラスメソッドの全国横断カンファレンスイベントとして7月24日に開催した「DevelopersIO 2023 福岡」で登壇させて頂きました。

会場となった福岡国際会議場は、現在開催されている「世界水泳2023福岡」の会場エリアにあるため、付近は世界水泳ムード一色となっていました。

私が担当したセッションでは、世界水泳とは関係なく (当たり前) 「コールセンターだけじゃない!Amazon Connectを使ってできる課題解決いろいろ」というタイトルでお話ししました。

登壇資料

登壇動画

弊社Youtube公式チャンネルにて、動画も公開予定とのことです。(現在準備中)

セッション内容の概要

大きく以下の3つのテーマについてお話ししました。

  • 電話受付業務の自動化/省力化
  • 自動電話発信による業務改善/サービス向上
  • 「AI」を活用した更なる効率化

電話受付業務の自動化/省力化

電話対応業務は「電話」というコミュニケーション手段の特性 (リアルタイム性がある、1対1でしか対応できない、等) のために、以下のような課題を抱えています。

  • 企業の悩み
    • 現場は忙しいのに、次から次に電話が掛かってくる
    • 電話対応に追われ、本来の業務に支障が出てしまう
  • 顧客の不満
    • いつも混雑していて繋がらない
    • 長時間待たされる
    • 適切な部署に繋がらず、たらい回しにされてしまう

このような課題を解決するためには、「対応に手間がかかっていること」「人間が対応しなくてもよいこと」には何があるのかを考えた上で、自動化できないかを検討してみましょう。

具体的な「電話受付業務の自動化」として、4つの例をご紹介しました。

電話受付業務の自動化の例(1)「電話受付のメニュー化」

「電話の取次ぎ」という手間がかかる業務を、お客様自身にメニューを選んでもらうことで自動化する解決法です。

電話受付メニュー自体は皆さんも良く体験しているサービスだと思いますが、Amazon ConnectではGUI操作で簡単に構築できることをご紹介しました。

電話受付業務の自動化の例(2)「利用料金案内サービス」

「電話の受付/振り分け」だけでなく、振り分けたサービスメニューのうち「人間でなくても対応できる」ものを自動化しようという考えです。

利用料金というものは「対象顧客」「対象月」が分かれば機械的にデータベースから情報を得られるため、仕組みさえあれば人間が対応しなくても自動化できそうです。

この「利用料金案内サービス」を、Amazon ConnectおよびAWS各サービスを組み合わせて実現する手法をご紹介しました。

処理のキーポイントとなるのが「『発信者番号通知』で通知される電話番号を使って、発信元の顧客を特定する」という点です。

顧客を特定することができれば、利用料金案内サービスに留まらず、顧客に対する様々なサービスを提供することが可能となります。

電話受付業務の自動化の例(3)「予約受付サービス」

単に一方的に情報提供するのみではなく、「予約受付」という双方向のやり取りが発生する業務も、上手くやれば自動化の対象になり得ます。

顧客から「希望する予約内容」の入力情報を受け取るために、「プッシュボタンによる数値入力」という手段を使っています。

数値情報だけでは細かな要望などを受け付けることは難しいかもしれませんが、その場合は、例えば「追加のご要望がある場合は『0』を押してオペレーターへ・・・」とすることで柔軟に対応することは可能です。 人間による対応が発生してしまうことになりますが、最初から人間が受け付けるよりは、プッシュボタンによる自動化を取り入れることで、多くの場合で人間が対応しなくてよくなる訳です。

電話受付業務の自動化の例(4)「問い合わせの無人受付」

コールセンター等で「時間外」や「混雑時」に電話が繋がりにくい状況で、顧客が「留守番電話」に問い合わせ内容を吹き込むことで、非同期でオペレーターが対応できる仕組みです。

「オペレーターの要員確保や勤務時間改善」あるいは「機会喪失をいかに回避するか」といった、コールセンターが抱える課題を解決するソリューションではないかと思います。

Amazon Connectにおける録音機能としては、メニューで有効化するだけで自動的にS3バケットに音声ファイルを保存してくれる「通話録音」という機能があるのですが、今回のような「オペレーターが不在で顧客が一人で話している」状態ではこの「通話録音」機能が使えないという制約があります。

そこで、別の機能を使って顧客の音声を録音する仕組みを実装しました。

この仕組みでは、音声データは「Kinesis Video Streams」上にストリーミングデータ (RAW形式) として記録されますが、後から再生可能にするためにはプログラムによる変換処理がどうしても必要になります。

実装のハードルは高くなりますが、実現できると顧客サービスの大きな向上が見込めるのではないかと思います。

自動化の「レベル」について

ここで少し話題を変えて、電話受付業務の「自動化レベル」について考えてみます。

自動化レベル・低:「受付/振り分けのみ自動化」

自動化の例(1)「電話受付のメニュー化」は、上図だと最も自動化レベルが低い位置付けであり、振り分けた各メニューの先では最終的に必ず人間が対応することになります。

自動化レベル・中:「自動応答を部分的に取り入れる」

ここから自動化を少し推し進めると「部分的な自動応答の導入」のレベルになります。

自動化の例(2)「利用料金案内サービス」のように、人間が対応しなくてもよいサービスを自動化することで、更に業務を効率化することができます。

この時に、「原則は人が対応」つまり「自動化できる一部のサービスのみ自動化する」というレベルもあれば、「原則は自動応答」つまり「どうしても自動化できない部分のみ人間が対応する」というレベルまで、自動化レベルもいくつかの段階が考えられます。

自動化レベル・高:「完全な自動応答」

そして、究極まで自動化を進めた先には「完全な自動応答」があります。 このレベルまで来ると、いかなる場合でも人間が対応することはなくなります。

しかし、現実的には「いついかなる場合も人間が対応しなくてよい」というシチュエーションはなかなか難しいのではないかと思います。 そのため、完全自動化は「既存の電話受付業務を自動化する際に目指す最終形態」と考えるのではなく、「最初から人間がいないことを前提にシステムを設計する」という場面を考えると良いかと思います。

例えば、スタートアップ企業が新しいサービスをリリースする際に「サポートや問い合わせ窓口が必要だが、人的コストを割く余裕が無い」といった場合に、この「完全な自動応答」を検討するといった具合です。

自動電話発信による業務改善/サービス向上

2番目のテーマとして、Amazon Connectを使って顧客に対して自動的に電話を掛ける仕組みについてお話ししました。

この「自動電話発信」を使うと、例えば以下のようなことが行えます。

  • 「アンケートシステム」
    • 不特定多数に対して: 市場調査、世論調査
    • 特定の顧客に対して: 購入者アンケート、アフターフォロー
  • 「リマインダー」
    • 予約日前日のお知らせサービス
  • 「障害通知」
    • 障害発生時など決められた条件 → 予め登録された電話番号へ発信する
    • 優先度を付けた複数番号を登録 → 電話に出なかった時に次の候補へ掛ける
    • 自社内のシステム監視運用/顧客提供システムの通知サービス

自動電話発信を実現する方法は下図のようになります。

電話を受信する時は「コンタクトフロー」が処理のスタート地点になりましたが、電話を発信する時は処理の流れが大きく異なります。

電話の発信は、Amazon Connectの「StartOutboundVoiceContact」APIをコールすることで行われます。 (実際には、Lambda関数等により各プログラム言語に対応したAWS SDKを使って実装することになります)

顧客の電話番号に対して電話発信を行うには、データベースから顧客データを読み込みつつ、「StartOutboundVoiceContact」APIのパラメーターに電話番号を指定してAPIをコールします。

定期的な処理を実現するために「EventBridge Scheduler」、Amazon Connectの同時発信数制限にかからないように電話発信の処理をキューイングするために「SQS」などのサービスを組み合わせると良いでしょう。

「StartOutboundVoiceContact」APIのパラメーターには、「発信先の電話番号」の他に「使用するインスタンスID」「使用するコンタクトフロー」「フローに渡す『属性/値』のペア」を指定します。

電話発信では、電話が相手に繋がった時点で「コンタクトフロー」に記述した処理が開始します。 この時に使う「コンタクトフロー」をAPI呼び出し時のパラメーターで指定します。

併せて指定した「フローに渡す『属性/値』のペア」は、コンタクトフロー内で「属性の値」として参照することができます。 例えば、APIを呼び出す時に「顧客ID」の値をパラメーターとして渡すことで、コンタクトフロー内で「顧客ID」を使った処理を行えるという訳です。

自動電話発信の弊社公開事例

自動電話発信を実際のサービスに活用した事例として、旭化成様/旭化成ファーマ様の開発をご支援した事例をご紹介しました。

継続的な薬の服薬による治療が必要な患者さんに対して、自動電話発信による「薬の『飲み忘れ』を防ぐリマインダー」を提供するサービスです。

このように、Amazon Connectを使うことで、単に電話を自動的に発信するだけではなく、利用者それぞれの属性や状況に応じたサービスを提供することが可能となります。

「AI」を活用した更なる効率化

最後に、今まさに注目されている「AI」を使ったAmazon Connectの活用についてお話ししました。

まず、AWSが提供する「AI/MLサービス」をAmazon Connectで利用することができる点についてです。

  • Amazon Connect
    • Contact Lens: 通話内容の分析による顧客対応の品質を判定
    • Voice ID: 声紋を使った利用者の特定
    • Wisdom: ナレッジ検索等によるオペレーター業務の支援 (※現在は日本語に未対応)
  • Amazon Lex
    • AIチャットボットサービス
    • Amazon Connectと組み合わせることで音声チャットボットを実現可能
  • Amazon Transcribe
    • 音声をテキストに変換するサービス
    • 音声情報を目に見える形に可視化することで電話対応業務を効率化できる

このようにAWS標準機能の範囲でも、AIの恩恵を受けた様々な機能を利用することができます。

また、現在急速に利用が拡大している「OpenAI」「ChatGPT」を使うことで、更なる可能性を見出すことができます。

「Amazon Connect」×「OpenAI/ChatGPT」と聞いてまず思いつくのが、ChatGPTにおけるテキストチャットでのやりとりを、電話を使った音声でのやりとりに置き換えるサービスです。

実現できそうな気はするものの、具体的にどのようにして実装すればよいのだろう・・・? と思っていたら、3月に弊社内でOpenAI APIの利用が可能になってから数日にして、Amazon ConnectとOpenAIを連係して「電話チャットボットシステム」を構築した猛者が現れました。

上記の例のように「顧客からの質問に答える」サービスだけではなく、例えばコールセンター内での業務効率化に役立てることもできそうです。

コールセンターに掛かってきた顧客からの電話の通話音声をOpenAIに入力して、オペレーターに対して「回答案」や「ナレッジ情報」をサジェストしようという仕組みです。

オペレーターへのサジェストは独立したWeb画面での提供を想定していますが、もしAmazon Connectのソフトフォン画面 (CCP) に組み込むことができれば、使い勝手は良くなりそうですね。 (DevelopersIO 2023福岡の会場で「CCPへの組み込みは可能ですか?」とご質問を頂きましたが、現時点では構想段階に留まっています、ご了承ください)

まとめ

ということで、今回のセッションでお話しした内容を、最後に「まとめ」ました。

Amazon Connectを利用した「自動化」の手法として、「電話対応業務の自動化」(受電における自動化) と「自動電話発信」(電話発信の自動化) についてお話ししました。

弊社のお客様でも、実際にPoCや本番サービスで今回ご紹介したような自動化を使ったサービスを開発・提供されている例が多くあります。

Amazon Connectと「AI」を連係した新たなサービスについては、現時点ではまだ弊社内での調査検討・PoCレベルに留まっている状況です。

しかしながら、OpenAI/ChatGPTを始めとした「生成AI」の技術は今後一層進化して行くはずですので、今のうちからガンガン触って&試してみて、活用法のアイデアを出して行きたいと思います。

Share this article

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.