速くてAll in OneなJavaScriptランタイム 「Bun」
Introduction
JavaScriptランタイムといえば一般的にはNodeかDenoが思い浮かびます。
Bunはこれらに並ぶ選択肢に
なりえるかもしれないJavaScriptランタイムです。
Bunは、下記ポイントに焦点を当てて開発されているとのこと。(公式より)
- Start fast(エッジを考慮して設計)
- 新しいレベルのパフォーマンス(JavaScriptCoreエンジンを拡張)
- All in One(bundler, transpiler, package managerが統合)
Bunは、ローカルマシン、サーバサイド、Edge環境で現在のJavaScriptや
TypeScriptのアプリやスクリプトを
リプレイスするものとして開発されています。
(WASMとかぶる?)
現状、Node API関数の90%以上をネイティブで実装しているそうです。
簡単にいうと、Bunは「速くてAll in OneなJavascriptランタイム」です。
About Bun
Zig言語とJavaScriptCoreで実装されているBunについて、
特徴を簡単に紹介します。
アイコンのこいつ
まず気になったのがこれ。
肉まんとかまんじゅうとか赤ちゃんとか言われてますが、
こいつは何者なのか気になります。
bunでしらべるとパンの画像や団子(Google翻訳)とでてくるので、
おそらく食べ物だと思いますが、具体的に何かは不明。
日本だと肉まんと呼ばれてるのを何度か見かけました。
各種ツールが統合
Nodeの場合、パッケージマネージャはnpmやyarnを使い、
バンドラーはwebpackを使用、TypeScriptのトランスパイルは
typescriptパッケージを使います。
Bunの場合、自身がパッケージマネージャ(npm互換)やバンドラーの機能をもっています。
さらに(Denoのように)TypeScriptのトランスパイルもデフォルトで可能です。
(JSXのトランスパイルも可能)
タスクランナーとして動かすことも可能なので、ここにあるように、
npm runするみたいにタスクランナーの使い方もできます。
例えば下記のようなcleanタスクは
{ "name": "myapp", "scripts": { "clean": "rm -rf dist out node_modules" } }
bun run <コマンド> (またはbun <コマンド>)
で実行できます。
% bun run clean or % bun clean
速い
動作の速さをとにかくアピールしてます。
パッケージインストールを例にとると、
bun install(bunのnpm installみたいなやつ)は
Linux環境だとnpm installの20倍〜100倍速いそうです。
(macの場合だと4倍〜80倍くらい速いとのこと)
ここでいっているように
↓のスクリプトで、260,000 req/s(M1 Max)のパフォーマンスをだせるそうな。
// http.ts export default { port: 3000, fetch(request: Request) { return new Response("Hello World"); }, };
さらにここではHTTPサーバーの処理比較で、
BunがNode.jsより約2.5倍のリクエストを処理しています。
Requests per second | Runtime |
---|---|
~64,000 | Node 16 |
~160,000 | Bun |
ただ、この記事で比較しているように、
ケースによってはNodeが速かったりDenoが速かったりするので、
常にBunが最速というわけではないようです。
その他機能
上記以外の機能もいろいろ。
普通にトップレベルawaitが使えます。
//foo.js const blob = Bun.file("input.txt"); await Bun.write("output.txt", blob);
あとは.envから自動で環境変数をロードしてくれたり、
SQLite3クライアントがデフォルトで組み込まれていたります。
なお、紹介した以外の機能や各種詳細についてはGithubのREADMEで確認してください。
現状のドキュメントはこれだけです。
ここみれば、CLIの使い方からnodeとの比較まで全部のってる感じです。
Setup
ではBunをインストールしてみます。
公式にあるようにcurlでインストールスクリプトを実行すればOKです。
% curl https://bun.sh/install | bash % Total % Received % Xferd Average Speed Time Time Time Current Dload Upload Total Spent Left Speed 100 5046 0 5046 0 0 30957 0 --:--:-- --:--:-- --:--:-- 30768 ######################################################################## 100.0% bun was installed successfully to /User/hoge/.bun/bin/bun % bun --version 0.1.4
HTTPサーバのサンプルを記述。
// http.js export default { port: 3000, fetch(request) { return new Response("Welcome to Bun!"); }, };
bunコマンドでHTTPサーバが起動します。
% bun run http.js or % bun http.js #これだと補完がきかなかったが % curl http://localhost:3000 Welcome to Bun!%
Bun CLI
基本的なCLIのコマンドについて紹介します。
※Bun CLI参照
bun run
さきほども使用したスクリプト実行コマンドです。
js/tsファイルを実行します。
また、package.jsonに記述したスクリプトを実行するこも可能。
bun install (bun i)
package.jsonに記述された依存ライブラリをインストールします。
このコマンドではパッケージを指定してインストールすることはできません。
その場合は後述するaddを使いましょう。
bun add (bun a)
パッケージを指定してインストールします。
npm install --saveみたいな感じ。
% bun add mocha bun add v0.1.4 installed [email protected] with binaries: - mocha - _mocha
bun remove (bun rm)
インストールしたパッケージを削除します。
% bun rm mocha bun remove v0.1.4 [26.00ms] done No packages! Deleted empty lockfile
bun upgrade
Bunを最新に更新。
% bun upgrade Congrats! You're already on the latest version of bun (which is v0.1.4)
bun create (bun c)
テンプレートを指定して、新規プロジェクトを作成します。
テンプレートなし(blank)もできますし、 Githubのリポジトリを指定することもできます。
% bun create Welcome to bun! Create a new project by pasting any of the following: bun create blank ./blank-app bun create bun-bakery ./bun-bakery-app bun create discord-interactions ./discord-interactions-app bun create hono ./hono-app bun create next ./next-app bun create react ./react-app # You can also paste a GitHub repository: bun create ahfarmer/calculator calc
試しにhonoで作成。
% bun create hono $ bun install bun install v0.1.4 ? Resolving [1/2] [95.00ms] git + [email protected] + [email protected] 2 packages installed [1.78s] [1.78s] bun install [3.10s] bun create hono Come hang out in bun's Discord: https://bun.sh/discord ----- A local git repository was created for you and dependencies were installed automatically. Created hono project successfully
そのままstartできます。
% cd hono % bun run start $ bun run src/index.ts Running at http://localhost:3000 # curlで動作確認 % curl http://localhost:3000 {"message":"Hello World!"}%
Summary
今回はあたらしいJavaScriptランタイム、Bunを動かしてみました。
Bunは特別何かが革新的ということではなく、既存(主にNode)のプロダクトを
より速く、より便利につかえるようにした感じです。
ただ、ここでも言及しているように、
Bunが現状、ほとんど個人(Jarred Sumner氏)で開発しているプロダクトであることや、
Nodeとの互換性などの懸念点もあります。
とても魅力的なプロダクトですが、
まだベータ段階なので、しばらくは暖かく見守っていきましょう。