採用における各段階ごとのアトラクト

採用における各段階ごとのアトラクト

Clock Icon2023.11.30

この記事は公開されてから1年以上経過しています。情報が古い可能性がありますので、ご注意ください。

こんにちわ。組織開発がミッションの人事グループ・組織開発室に所属しているてぃーびーです。
採用は企業から見ると、入社することになる方を選ぶ側面がありますが、それだけではなく、候補者さんから選ばれる側面もあります。今回は選ばれる側面としてのアトラクトについて整理します。

アトラクトとは?

採用におけるアトラクトとは、企業が採用活動を通して候補者さんに自社の魅力を伝える働きかけのことです。

各段階ごとのアトラクト

企業の前提

アトラクトは企業の魅力を伝える働きかけです。
そのため、大前提として企業が魅力的である必要があります
また、魅力は選考競合と比べ、相対的に上回っている必要があります。
他社と比べて際立った魅力は、EVPと呼ばれます。
そういった魅力があれば、特にそこがアピールのしどころですし、逆になければ時間をかけて意図的に魅了を作る必要があるでしょう。
EVPについて、より詳しくは下記を参照ください。

候補者さんの前提

アトラクトは相手である候補者さんあってのものであり、何を魅力と感じるかは候補者さんごとに異なります
転職の動機や優先事項は人によってことなるため、何を魅力と感じるのは人それぞれなのです。
例えば、同僚の質に重きを置く人もいれば、事業領域に重きを置く人もいます。

認知・興味段階

各種発信や社外交流を通して、社内の魅力を外部に発信し、認知してもらうことで認知・興味段階でのアトラクトにつながります。
例えば
  • 企業理念や方針
  • 事業領域
  • 競争力の源泉
  • 同僚の優秀さ
  • 仕事の進め方
  • カルチャー
    • 自由さ
    • 楽しさ
    • 情報発信
  • 専門領域に関わる魅力
    • 同僚の技術力
    • 新規分野への積極性
    • 社内の勉強会の充実
  • キャリアや成長のための機会の大きさ
  • 労働環境
  • 組織課題 ※課題は裏返せば入社後の経験機会になる
などがあります。

カジュアル面談段階

カジュアル面談では、会話で組織の魅力を伝えることができます。
特に、カジュアル面談は転職意向がある人もいれば、現段階で転職意向がない人もいます。
転職意向がある人に対しては、転職軸に一致する部分を伝えることができれば訴求になります。
転職意向がない人に対しては、キャリア全体の展望や希望する労働環境に対して現在の環境より大きくプラスであることを伝えることができれば、転職意向が芽生える可能性があります。仮にその場で転職意向が芽生えなくても、将来的な選択肢として数年後に再度応募してもらえるかもしれません。
ここで大切になるのは「候補者さんの前提」にも記載しましたが、あくまで候補者さんが何を求めているかを踏まえて相手が求めるものを伝えることができるかどうかが重要です。誰が相手でも一律で自社がアピールしたいことだけを説明しているのでは不足があります。

選考段階

選考段階は、転職意向が明確になり、少なくとも将来の選択肢の一つとして応募してもらえているという状態です。
それを踏まえて気をつけることはカジュアル面談と同様です。
  • 候補者さんが何を求めているかを確認すること
  • 求めているものが得られるのか、得られないのかをお伝えすること
これらを行うことです。
仮にカジュアル面談ですでに確認済みの場合も、選考期間を通して本人が求めるものが変化することもあるため、変化の有無を確認し、変化があれば改めて魅力を伝えることが大切です。
また、カジュアル面談・一次選考・二次選考など各場面で参加する面接官が異なる場合、その人だからこそ伝えられる魅力がありえます。特に、一緒に働く上司・同僚に関しては実際に会わないことには魅力を実感しにくい側面があります。その意味で相手が求めるものに応じてどんな人に出席してもらうかが大事になります。
求める情報の確認については、マッチング・インタビューという方法があります。

オファー段階

オファー段階は、選考評価をもとにしてオファー年収や労働条件の提示とともに、最後のアトラクトをする機会にもなります。
最低ラインとして
  • 候補者さんが転職したいと思えるくらい、転職の希望条件を満たしていること
が必要になります。
そして、候補者さんは1社からしか内定のオファーをもらわないとは限りません。そのため最低ラインだけではなく
  • 他社と比べて候補者さんの希望条件を最も満たしている
が必要になります。
それを踏まえると、この最終段階でのアトラクトは非常に重要になります。
参考として、マッチング・オファーという方法があります。

補足

選考におけるアトラクトは入社時の期待値になる

選考におけるアトラクトは、そのまま入社時点での会社に対する期待値になります。
これは、従業員体験における「契約」という考え方になります。契約には3種類あります。
  • ブランド契約 - 接点を持つ人々がコーポレートブランドから読み取るもの
  • 取引的契約 - お互いの関係を維持するために双方が承諾したもの。明示的なもの
  • 心理的契約 - 暗黙的な期待や義務
選考段階で得たそれぞれの情報や印象が入社後の各契約の期待値になります。
注意が必要なのは、入社後にこの期待が得られなかった場合、大きなデモチベーションにつながることです。
そのため、選考段階のアトラクトはあくまで実際に存在する魅力で伝え、誇大広告にならないようにする必要があります。
契約に関する考え方は以下にまとまっています。

入社理由、辞退理由の確認

選考におけるアトラクトがうまくいったのか、うまくいかなかったのかを確認できると、実態を踏まえた継続改善をしやすくなります。
そのためにも、
  • 入社者には入社の決め手になった情報を確認すること
  • 辞退者には辞退理由の決め手になった情報を確認すること
が大切になります。
辞退理由は、選考体験が良好になっていないと率直な意見を教えてもらいにくくなるため、良好な選考体験が大切にしましょう。
選考体験を良好にすること自体は、この件に限らず重要なのでやっておいて損はありません。

まとめ

選ばれる側面としてのアトラクトについて整理しました。
アトラクトは会社の情報を伝えることにもなるため、入社段階のギャップを減らすことにもつながります。
一石二鳥でもあるため、「選ぶための活動」は十分だが「選ばれるための活動」が不十分な場合、「選ばれるための活動」であるアトラクトを強化するとよいでしょう。

関連情報

Share this article

facebook logohatena logotwitter logo

© Classmethod, Inc. All rights reserved.