[Amazon Connect] 電話アンケートの仕組みを作ってみた 〜 S3に質問内容を置くだけで自動で集計してグラフ表示するのです〜

[Amazon Connect] 電話アンケートの仕組みを作ってみた 〜 S3に質問内容を置くだけで自動で集計してグラフ表示するのです〜

Clock Icon2019.01.06

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1 はじめに

AIソリューション部の平内(SIN)です。

今回は、Amazon Connect(以下、Connect)を使用して、電話でアンケートを取る仕組みを作成してみました。

全部、作り込めば、結構簡単にできてしまいそうなので、少しでも汎用的に使えるように、次のような、質問内容を記述したJSONファイルをS3に配置するだけで、自動的に集計(グラフ表示)までするようにしてみました。

surveys.json

{
"welcome_message": "クラスメソッドのアンケートシステムです。",
"goodby_message":"ご協力ありがとうございました。今後とも、クラスメソッドをどうぞ宜しくお願い申し上げます。",
"surveys":[
{
"question":"セミナーの満足度について教えてください。最も良い場合は5、最も悪い場合1の5段階でお応えください。",
"list":["最も悪い","悪い","普通","良い","最も良い"]
},
{
"question":"今回、このセミナーが開催されることを何から知りましたか。ホームページの場合は1を、新聞、雑誌の場合は2を、メール案内による場合は3を、その他の場合は4を押してください。",
"list":["ホームページ","新聞、雑誌","メール案内","その他"]
},
{
"question":"お客様の期待されるセミナーの内容についてお答えください。クラウドサービスは1を、機械学習は2を、モバイルアプリは3を、その他の場合は4を押してください。",
"list":["クラウドサービス","機械学習","モバイルアプリ","その他"]
}
]
}

使用しているようすです。アンケートが終了した時点で、自動的に集計されグラフが更新されます。

2 構成

構成は、次のようになっています。

  • アンケートを行うコンタクトフローは、アンケート情報ファイル(surveys.json)を元に動作します。
  • アンケート終了時に、回答(answer_XXXXXXXXX)をS3にアップロードします。
  • 回答がアップロードされたタイミングで、全ての回答を集めて集計し、集計ファイル(result.json)を生成します。併せて、AWSIoTのMQTTで、グラフ表示をリロードさせます。
  • 管理者は、S3上のグラフ表示(index.html)を開いておくだけで、逐次、最新の集計を確認できます。

3 コンタクトフロー

使用したコンタクトフローです。

  • 日本語表示設定の後、Lambdaを呼び出します。
  • Lambdaの戻り値で、アンケートが終了かどうかを確認します。
  • アンケート継続の場合、Lambdaで生成されたメッセージでユーザーの番号入力を待ちます。
  • 番号が入力されたら、再び、Lambdaを呼び出します。
  • Lambdaの戻り値がアンケート終了の場合は、Lambdaで生成されたメッセージを再生して切断します。
  • 2回目以降のLambdaは実行では、ユーザーの番号入力も処理しています。

4 セッション情報について

今回の仕組みでは、アンケート中、質問の数だけLambdaが呼び出されますが、その間、ユーザーの回答を保持する必要があります。

しかし、ConnectのLambda実行では、セッション情報という概念が無いため、保持する情報を文字列化してexportimportするクラスを作成しました。

SessionAttribute.js

// セッション情報を管理するクラス
module.exports = class SessionAttributes {
constructor(){
this._data = {};
this._data.answer = [];
}

import(data) {
if (data) {
this._data = JSON.parse(data);
}
}

export(){
return JSON.stringify(this._data);
}

get index() {
return this._data.answer.length;
}

get answer() {
return this._data.answer;
}

appendAnswer(num) {
this._data.answer.push(num);
}
}

このクラスを使用して、Lambdaの終了時にexportし、開始時にimportしています。

起動時

const sa = new SessionAttributes();
sa.import(event.Details.Parameters.sa);

終了時

return {
sa: sa.export()
};

コンタクトフローのLambda呼び出しでは、下記のように、最後のLambdaの戻り値を、パラメータとして読み込んでいます。

この仕組みでは、コンタクトフロー上で、文字列としてデータが保持されるため、どのような型でもセッション情報として使用することが可能です。

なお、外部のデータは、Lambda実行のたびに上書きされますので、別のLambda関数を間に挟むことはできません。

5 リポジトリ

各種のファイルは、S3をリポジトリとして使用して保持していますが、その入出力にために、専用クラスを用意しました。

Repository.js

module.exports = class Repository {
constructor(){
const aws_sdk = require('aws-sdk');
this._s3 = new aws_sdk.S3();
this._bucket = 'blog-surveys'
this._surveys = 'surveys.json'; // アンケート情報
this._result = 'result.json'; // 集計結果
}

async getSurveys() {
const data = await this._get(this._surveys);
return JSON.parse(data.Body.toString());
}

async getAnswer() {
let keys = [];
const data = await this._list();
data.Contents.forEach( content => {
const key = content.Key;
if(key.indexOf('answer_') == 0) {
keys.push(key);
}
});
let result = [];
for (var i=0; i < keys.length; i++) {
const data = await this._get(keys[i]);
var obj = JSON.parse(data.Body);
result.push(obj.answer);
}
return result;
}

async putAnswer(phoneNumber, answer){
const dateStr = (new Date()).toString();
const result = {
date: dateStr,
phoneNumber: phoneNumber,
answer: answer
}
await this._put('answer_' + dateStr, JSON.stringify(result))
}

async putResult(results){
await this._put(this._result, JSON.stringify(results), 'public-read')
}

async _list() {
var params = {
Bucket: this._bucket,
};
return await this._s3.listObjects(params).promise();
}

async _get(key) {
var params = {
Bucket: this._bucket,
Key: key
};
return await this._s3.getObject(params).promise();
}

async _put(key, body, acl) {
var params = {
Bucket: this._bucket,
Key: key,
Body: body,
ContentType: 'application/json',
ACL: acl
};
await this._s3.putObject(params).promise();
}
}

S3に各種のファイルが格納されている様子です。

6 Lambda(コンタクトフローから呼ばれる)

コンタクトフローから呼び出されるLambdaのコードは、以下のとおりです。アンケート情報に基づいて、再生するメッセージを返したり、ユーザーの入力を保存しています。

'use strict';
const Repository = require('./Repository.js');
const SessionAttributes= require('./SessionAttributes.js');

exports.handler = async function(event, _context) {
console.log(JSON.stringify(event));

if (event.Details) { // コンタクトフローから起動された
return await surveyProcessing(event);

・・・省略・・・

async function surveyProcessing(event) {
const repository = new Repository(); // S3操作
const sa = new SessionAttributes(); // セッション情報
const json = await repository.getSurveys(); // アンケート取得
let disconnect = false; // 終了フラグ
let message = '';

if (event.Details.Parameters.sa == '') { // 初回起動
message += json.welcome_message; // 最初のメッセージ
} else { // 2回目以降の起動
sa.import(event.Details.Parameters.sa); // セッション情報の復元
// 入力値の取得
let inputData = -1;
try{
//Parameters.inputDataは、'Timeout'の可能性もある
const number = Number(event.Details.Parameters.inputData);
if (1 <= number && number <= json.surveys[sa.index].list.length) { inputData = number; } } catch(err){ } if(inputData == -1){ message += '入力された番号が無効です。もう一度、お伺いします。' } else { // 回答の保存 sa.appendAnswer(Number(inputData)); } } if(sa.index >= json.surveys.length) { // 終了メッセージ
disconnect = true;
message = json.goodby_message;
// 回答者の電話番号
const phoneNumber = event.Details.ContactData.CustomerEndpoint.Address
// アンケート結果の保存
await repository.putAnswer(phoneNumber, sa.answer);
} else { // アンケート
message += json.surveys[sa.index].question;
}

return {
sa: sa.export(), // セッション情報を文字列としてコンタクトフローに保存する
message: message, // 再生されるメッセージ
disconnect:disconnect // アンケートを終了して切断するかどうかのフラグ
};
}

上記のコードにより、アンケート終了時に生成される回答は、以下のようになっています。

answer_XXXXX

{
"date": "Sat Jan 05 2019 22:55:36 GMT+0000 (UTC)",
"phoneNumber": "+8190xxxxxxxx",
"answer": [
5,
2,
1
]
}

7 Lambda(S3への回答保存時に呼ばれる)

回答が保存されたタイミングで呼び出されるLambdaのコードは、以下のとおりです。既に存在する回答を全て取得して、集計ファイルを生成しています。 また、AWSIoTのエンドポイントにPublishして、同トピックをsubscribeしているグラフ表示ブラウザを更新しています。

'use strict';
const Repository = require('./Repository.js');
const Mqtt = require('./Mqtt.js');
const SessionAttributes= require('./SessionAttributes.js');

exports.handler = async function(event, _context) {
console.log(JSON.stringify(event));

・・・省略・・・

} if(event.Records) {
// イベントは、サフィックス指定されていますが、念のためフィルタしています。
const key = event.Records[0].s3.object.key;
if(key.indexOf('answer_') == 0) {
// S3への「answer_」で始まるオブジェクトが、PUTされた
return await createView();
}
}
}

async function createView(){
// S3操作
const repository = new Repository();
// アンケート取得
const json = await repository.getSurveys();
// 集計用変数の初期化
const q = Array(json.surveys.length);
json.surveys.forEach( (survey,i) => {
q[i] = Array.apply(null, Array(survey.list.length)).map( () => {return 0});
})
// 結果取得
const answer = await repository.getAnswer();
// 集計
answer.forEach(a => {
q.forEach( (n,i) => {
n[a[i] - 1]++;
})
})

let results = [];
json.surveys.forEach((survey,i) => {
results.push({
question: survey.question,
list: survey.list,
answer: q[i]
});
});
await repository.putResult(results);

// MQTTでブラウザに更新されたことを伝える
const endpoint = 'xxxxxxxxxxxxx.iot.ap-northeast-1.amazonaws.com';
const topic = "surveys_refresh";
const mqtt = new Mqtt();
await mqtt.refresh(endpoint, topic);
}

結果として出力される集計ファイル(result.json)は、以下のようになっています。グラフ表示(index.html)は、このJSONを元に表示されています。

result.json

[
{
"question": "セミナーの満足度について教えてください。最も良い場合は5、最も悪い場合1の5段階でお応えください。",
"list": [
"最も悪い",
"悪い",
"普通",
"良い",
"最も良い"
],
"answer": [
2,
1,
1,
1,
13
]
},
{
"question": "今回、このセミナーが開催されることを何から知りましたか。ホームページの場合は1を、新聞、雑誌の場合は2を、メール案内による場合は3を、その他の場合は4を押してください。",
"list": [
"ホームページ",
"新聞、雑誌",
"メール案内",
"その他"
],
"answer": [
1,
10,
4,
3
]
},
{
"question": "お客様の期待されるセミナーの内容についてお答えください。クラウドサービスは1を、機械学習は2を、モバイルアプリは3を、その他の場合は4を押してください。",
"list": [
"クラウドサービス",
"機械学習",
"モバイルアプリ",
"その他"
],
"answer": [
14,
1,
2,
1
]
}
]

8 最後に

今回は、汎用的に利用できる電話によるアンケートの仕組みを作ってみました。

同じアンケート情報(設定ファイル)で、Web回答できるページも生成するようにすれば、2種類のUIを提供できるシステムとなって、より汎用的かも知れません。

多様なUIを提供する方法の1つとして、Connectは、有効だと感じています。

グラフの生成については、下記のものを利用させて頂きました。

Google Chats -Visualization: Pie Chart-

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