生成AIによる仮想顧客役との対話を通してAWSが学べる?AWS SimuLearn を触ってみた

生成AIによる仮想顧客役との対話を通してAWSが学べる?AWS SimuLearn を触ってみた

Clock Icon2024.07.18

こんにちは、大前です。

AWS Skill Builder 上で利用できる新しい学習コンテンツとして AWS SimuLearn(以降 SimuLearn)なるものがいつの間にか増えていたので、触ってみました。

https://x.com/omaepasuta1/status/1811582555176731026

AWS SimuLearn とは

公式ドキュメントによると、以下の記載があります。(翻訳ツールで和訳したものを記載)

200 以上のトレーニングが用意されており、トピック、役割、または業界を選択して仮想顧客とやり取りし、建設的なフィードバックを得てアーキテクチャ提案を作成し、リスクなしで AWS ソリューションを構築する方法を学習できます。

https://aws.amazon.com/jp/training/digital/aws-simulearn/

仮想顧客とやり取り」という部分が気になりますが、同ページに以下のような記載もあります。

AWS SimuLearn は、Amazon Bedrock 生成 AI を活用した現実的なシミュレートされたシナリオを使用し、ビジネスナラティブを受け取り、インタラクティブな顧客との会話を通じて仮想顧客とやり取りします。

生成 AI による仮想顧客相手に AWS の学習ができる...ってコト!?

なんだか良さげな雰囲気を感じます。早速触っていきましょう。

SimuLearn を利用するまで

冒頭にも記載した通り、SimuLearn は AWS が提供する学習センターである AWS Skill Builder (以降 Skill Builder)上のコンテンツとして提供されるため、Skill Builder にログインすることで利用できます。

Skill Builder は基本無料で利用できますので、もしアカウント持っていない方は、とりあえず作成してしまいましょう。

https://dev.classmethod.jp/articles/how-to-get-started-with-aws-skill-builder/

Skill Builder にログインしたら「コースカタログ」よりフィルターを開き、「トレーニングカテゴリ」にて "ゲームベースの学習" を選択し、上記検索バーに "SimuLearn" と入力すると SimuLearn の一覧が確認できます。

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195個のコンテンツが提供されていることがわかる

無料で利用できる SimuLearn

SimuLearn は基本的に Skill Builder の有償サブスクリプション(有償ライセンス的なもの)を購入することで利用できる様になりますが、一部コンテンツは無料版でも利用可能です。

AWS SimuLearn 公式ページ の下部を確認すると、特定のロールや業界に関連する SimuLearn が学習プランとしてまとめられ、提供されていることがわかります(以下画像はロール別の部分だけをキャプチャしたものです)

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初心者からサーバレス、セキュリティから生成 AI まで様々(ブラウザの翻訳ツールで翻訳したもの)

また、それぞれの学習プランには「無料」もしくは「サブスクリプション」という記載が付帯しており、文字通り「無料」とついている学習プランに含まれる SimuLearn が無料範囲で利用できる形となります。現在はクラウド入門者向けの AWS SimuLearn: Cloud Practitioner Learning Plan のみが無料で利用できる様です。

今回も、上記無償範囲の SimuLearn を触っていきます。

SimuLearn の学習プランを探す

先ほどは SimuLearn のコンテンツ一覧を表示しましたが、上記の通り、基本的には特定のロールや業界に対して用意されている学習パスに沿って SimuLearn を利用してことが多いと思うので、Skill Builder 上でも SimuLearn を学習プランから探していきます。

先ほどと同じく「コースカタログ」よりフィルターを開き、「タイプ」にて "学習プラン" を選択し、上記検索バーに "SimuLearn" と入力すると SimuLearn の学習プラン一覧が確認できます。(トレーニングカテゴリの選択は空にします)

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11個の SimuLearn 学習プランが確認できる

今回は上述の通り、無償範囲でもある AWS SimuLearn: Cloud Practitioner Learning Plan をみていきます。

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AWS SimuLearn: Cloud Practitioner Learning Plan は学習プランになりますので、中には複数の SimuLearn が含まれているような形になります。上から順に進めていくことを想定していると思いますが、クラウドコンピューティングから始まり、データベースやネットワークなど基本的なコンポーネントについて学べる学習プランになっていそうです。

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この学習プランには 12個の SimuLearn が含まれている

いよいよ、SimuLearn を触っていきましょう。

SimuLearn を触ってみる

モードの選択

今回は、一番上にあった AWS SimuLearn: Cloud Computing Essentials を触ってみます。

SimuLearn を起動すると、以下のような学習モードの選択画面が表示されます。スクリプトモードは決められた会話を確認して AWS の学習に入るモードで、ダイアログモードはまだプレビュー機能とのことですが、生成 AI との対話を通して解決策を考えていくモードとのことです。

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ちなみに、SimuLearn は現在英語でしか提供されていませんが、ブラウザの翻訳機能が効く様ですので、英語が苦手な方でも使っていただけるかと思います。

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ブラウザ上で翻訳ツール使った場合

生成 AI との対話を試したいので、今回はダイアログモードで進めていきます。

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Dr.Newton の存在

学習に入る前に、Dr.Newton についての説明が行われました。

Dr.Newton は SimuLearn 上で利用できるアシスタントAIで、困った時に Dr.Newton に対して質問を投げかけたりできるそうです。

また、それだけではなく、ダイアログモードでは仮想顧客との対話を Dr.Newton が評価してくれるとか。ソフトスキルまで勉強できたらアツいですね。

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SimuLearn スタート

いよいよ SimuLearn スタートですが、最初が SimuLearn ならではの面白いところです。

一般的な学習コンテンツではいきなり手順が与えられることが多いと思いますが、SimuLearn では「何のためにこのアーキテクチャを構築するのか」から考える機会が与えられます。これを実現するのが、生成AIによる仮想顧客との対話です。

SimuLearn が始まると以下の様な画面になり、画面左半分がチャット欄になっています。右半分が構築予定のアーキテクチャ図で、「?」部分に当てはまる AWS サービスを顧客との対話を通して決定する必要があります。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

とりあえず、チャットにて「どんなサービス作る予定なの?」と聞いてみます。(英語で入力が必要です)

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すると、サービスの説明や、抱えている課題について返答が返ってきます。すでに本当の要件ヒアリングみたいで楽しい。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

また、顧客へのヒアリング内容に応じて、画面右下で Dr.Newton がソフトスキルを評価してくれています。今の質問でコミュニケーションスキルと顧客重視がマックスになったみたいです。なんだかよくわからないけど楽しい。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

今回求められているのは S3 を利用することなので、「S3 利用すると静的ウェブサイトをホストできますよ」とチャットしてみます。

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すると、正解を示すような演出があったのち、以下の様に 解決完了 とマークされました。期待されるサービスを提案することができました。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

一方で、Dr.Newton からの評価をみてみると、スキルや知識に関する評価が上がった一方で、顧客重視が下がってしまいました。S3 を提案するだけでなく、S3 を利用することで具体的にどの様に課題解決につながるのか、まで合わせて言及してあげるべきだったかもしれません。期待以上にソフトスキルの部分も適切に評価してくれていそうで、可能性を感じます。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

AWSの学習のスタート

学習の流れ

仮想顧客との対話を通して利用するべき AWS サービスを明確にしたら、構築する AWS 環境について学び、実際に構築を進めていきます。

SimueLearn では 学ぶ(LEARN) → 練習する(PRACTICE) → 手作り(DIY) の 3ステップに分けて進んでいきます。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

Skill Builder に詳しい方は、この時点で「Cloud Questっぽいな」という気持ちを持つのではないでしょうか。Cloud Quest はゲーム世界でさまざまな住民の課題解決を通して AWS を学べる Skill Builder のコンテンツの 1つですが、Cloud Quest も上記の LEARN → PRACTICE → DIY の流れで学習を進めていく設計になっています。

https://dev.classmethod.jp/articles/aws-cloud-quest-cloud-practitioner-japanese/

SimuLearn は、基本的な学習の仕組みや流れは Cloud Quest を踏襲しつつ、その前段部分に生成AIによる仮想顧客シミュレーションを加えたもの、と個人的には認識しました。

1:学ぶ(LEARN)

LEARN では、これから構築する AWS のアーキテクチャについて学ぶことができます。ステップバイステップでキーワードを見ていきつつ、必要に応じて用意されたビデオやドキュメントを参照することができます。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

いくつかのビデオを見てみましたが、まだ英語オンリー(字幕もなし)でした。Cloud Quest だと、最近日本語字幕が選択できるようになっていたりするので、SimuLearn も今後に期待したいと思います。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

2:練習する(PRACTICE)

アーキテクチャについて学んだら、手順に沿って実際に AWS アカウント上で操作を行うハンズオンパートに移ります。Cloud Quest もそうですが、SimuLearn 上で一時的な AWS アカウントが用意されるので、個人で AWS アカウントを用意せずにハンズオンができるのはやはり公式コンテンツの強みだなと感じます。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

基本的には英語表記ですが、ある程度はブラウザの翻訳ツールが機能するのと、手順はスクリーンショット付きで細かく記載されているので、初心者であってもストレスなく進めていけると思います。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

手順に沿って作業を進めると、S3 の静的ウェブサイトホスティング機能を利用した、波の高さを確認できるウェブサイトにアクセスできる様になりました。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

3:手作り(DIY)

今回のアーキテクチャで利用するサービスの基本的な使い方を体験したら、最後は自分の知識を確認するためフェーズに移ります。

具体的には、ハンズオンの続きの手順について、細かい指示なしでどの様な操作を行えば良いか考え、実際に AWS アカウント上で操作を行う必要があります。キャプチャだと小さくてわかり辛いですが、今回は 「HTML ファイルの名前を変更して、引き続きウェブサイトにアクセスできるようにする」事を依頼されています。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

必要な作業を AWS アカウント上で実施したら、SimuLearn に求められている情報を入力します。今回は設定を変更した S3 バケット名を入力しました

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

与えられた要件を満たす形で AWS 環境の設定変更が行えていると、キャプチャのようにクリアを示す演出が表示され、1つの SimuLearn が完了します。コンテンツにもよると思いますが、1つ当たり 30分-1時間程度で進めていけそうです。

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(ブラウザの翻訳ツールを利用した状態でキャプチャしています)

おわりに

Skill Builder 上で利用できる新しい学習コンテンツである、AWS SimuLearn を触ってみました。

ベースの仕組みは従来の Cloud Quest を流用していそうですが、その前段である「なぜこのアーキテクチャを構築するのか」に対する理解を生成AIによる仮想顧客との対話を通して確認することができます。

また、正確性や実用性は未知数ですが、顧客との対話を生成AIによって評価されるという、ソフトスキルにフォーカスした機能も提供されており、可能性を感じるコンテンツだと思いました。

実際の学習においても、「インプットした知識をどのように実務に繋げていくか」が課題になるところかと思いますが、仮想顧客との対話をロールプレイできるという点で、より実務に近い学習体験を与えるための一つのステップとして、SimuLearn の利用が期待できます。

まだ出たばかりのコンテンツなので、今後のアップデートにも注目していきたいと思います。

以上、大前でした。

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