[書評]「OPENNESS 職場の空気が結果を変える」〜オープネスって何ぞ?

[書評]「OPENNESS 職場の空気が結果を変える」〜オープネスって何ぞ?

仕事の改善や効率化が進まない組織をもつ会社員にはタイムリーな内容ではないでしょうか。
Clock Icon2020.04.16

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DA事業本部のsutoです。

コロナの影響でこれまで古き良き日本企業がやってきた従来の働き方を見直さなければならなくなった昨今ですが、なかなか変化が出来ない企業が多い印象です。 なぜ変えられないのか。それは「OPENNESS(オープネス)」が低いからだ、というこちらの本を紹介します。

著者

「転職の思考法」で有名な北野唯我さんです。 こちらも名著なのでぜひ読んでみてください。

本の概要

オープネスとは何か

本書のなかでは「開放性」と訳し、以下のように定義されています。

「オープネス」とは情報の透明性であり、戦略のクリアさであり、リーダーの自己開示性である。

オープネスを形成する3つの要素

  • ①経営開放性
    • 経営者が社員にどれだけ情報を開示しているか?顔と名前、思想などを現場のメンバーが認知、理解している割合。
  • ②情報開放性
    • 従業員が自分の仕事を意思決定する上での十分な情報が容易にアクセスできる状態にある割合。
  • ③自己開示性
    • 従業員が、ありのまま自分の才能を自由に表現しても、他者から意図的な攻撃を受けないと信じている割合。

特徴

本書で著者はオープンワーク社より提供いただいた分析データをもとに根拠を示して綴られていますので納得感は得られると思います。最後に「なぜオープネスが大事なのか」がわかる本となっています。

【書評】OPENNESS 職場の空気が結果を変える

目次

  • 1章 オープネスの発見
  • 2章 オープネスとは何か
  • 3章 オープネスをどう高めるか
  • 4章 オープネスをどう使うか

1章 オープネスの発見

この章では著者がオープンワーク社から提供を受けたデータ(社員の士気、20代の長期育成とかの例のグラフ)からオープネスを発見し定義する経緯がわかります。
いまの時代、会社の評価として「財務データ」のほか「職場環境のデータ」が可視化されているからこそ「風通しの良さ≒オープネス」を知ることができたとあります。

これからの時代「事業戦略」よりも「組織戦略」が重要性を増すというのはそのとおりかなと思いました(事業戦略を軽視するわけじゃない)。人数の多い企業は社員の方向性を合わせることに苦労していると思います。概要の3つの要素にある①の施行は前提として、並行して②、③の実効性と成果が乏しい(orない)と社員は納得できないですよね。

2章 オープネスとは何か

概要にあったオープネスの3つの要素の解説、オープネスが高い企業と低い企業の違い、なぜ変われたのか・変われなかったのか、について書かれています。そして社員が長期的に働いてもらうためのアクションについて知ることができます。
また、誤解を生まないように「オープネスが高ければ良いというわけではない」などの注意点にも触れられています。

「大企業じゃ変革なんて無理だよ」と諦めている管理職の方も多そうですが、「大企業でも変われる可能性はある」(実例を示している)としっかり書かれているのが良いですね。
また、社員の立場の皆様にしっかり認識してほしいことはあくまで会社・組織にとっては自分は活かされる側であり、守ってくれる・育成してくれるわけではない(もちろん支援はありますが)てこと。会社に不満を持っている社員は会社は自分が成長していく上で利用する!くらいの気持ちで日々を過ごしていくと幸せになれるのではないでしょうか。

3章 オープネスをどう高めるか

この章はオープネスを邪魔している罠は何かと明確にした上で、3つの要素を高めるにはどうすれば良いかが書かれています。

「解釈がねじ曲がって伝わる」「実態の乖離」「暗黙の了解」「失敗すること、チャレンジすることを承認・奨励して、実際は成功だけしか認めない」などまさに会社あるあるですね。そのために「ゴールデンサークル理論(WHY→HOW→WHAT)が大事」ってことですね。
とくに本書のなかで「誰がやっても同じ業務を、いかにして気持ちよくやってもらうか?」はimportantかつsensitiveな項目ですね。

4章 オープネスをどう使うか

オープネスは「組織のカナリア」という言葉を念頭に、組織のオープネスの変化を観測し職場の空気を悪化させないために行う処置、アプローチについて書かれています。

1つの改善や変革ができたから終わりではなく、そのプロセスを維持できなければなんの意味もないですからね。実はここが一番難しいところだと思います。
結局は上層部のコミットメント(約束したものを十分に提供できる力)が最重要ということでしょうか。その後そのアイデンティティに共感する者は残り、そうでない人は去っていくのだと。いい意味での新陳代謝ができるってことでしょうか。

感想とか

クラスメソッドはClassmethod Leadership Principle(CLP)に基づいて、会社の行動指針や価値観が明確で経営層が定期的にアナウンスしているので、オープネスが高めではないかと思います。
採用人数が最近増えていることもあり、大きな組織特有の課題も発生していきているのかなと思いますが、これまで続いてきた良い企業文化を維持できるように自分ができることからがんばっていきたいです。

繰り返しですが、この本は自己啓発によくありがちなふわっとした文章ではなく、積み重ねた分析データから理論を展開しているので、決して眉唾物な内容ではないと私は思っています。むしろ、リーマンがやんわりと感じていたことが根拠あるデータとして説明できることにつながったと思います。(著者もオープンワーク社のデータがあったからこの本を書けたと言っているし)

さいごに

文章とポエムが多いかもですが、めちゃくちゃ共感できた本だったのでそれが少しでも伝わればと思います。

以上!

本のリンク

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